性格タイプ 002反社会性 02大胆不敵
大胆不敵
振り向いたB子が返事をするゆとりを与えず、Aはすかさず「ああ、B子さん。
俺、今外回りから戻ってきたところなんだ。どう、終業時間までまだちょっと時
間があるからそこらへんぐるっと回ってから帰らない?」
「えー、でも、まっすぐ帰らなきゃまずいんじゃない?今、勤務時間中なんだか
ら」
「何、お堅いこと言ってやがるんだ」Aは腹が立つのをぐっと抑えた。ルール
軽視
「分かった、分かった。それじゃ、会社まで一直線で帰るから。だったら、時
間の節約にもなって、いいでしょ。雑用ひとつするぐらいの時間、作れるかも
よ」
「それもそうね」
B子が助手席に乗ると素早くドアロックして急発進した。後ろの車がクラクシ
ョンを鳴らしたが、無視。
「ちょっと、ちょっと。これ、会社とは逆の方向じゃない」ルール軽視
「1周だけ!ね。終業時間きっちりに戻って見せるから」お笑い芸人のようにお
おげさに謝って見せるA。
「困るなあ、うちの主任、時間にうるさいから・・・」B子が言い終わらないう
ちに「あのさぁ、俺、B子さんと一度も話したことないから一度話してみたいと
思っていてさぁ」
と、Aは言う。これで会社に戻るまでの数分間の間に急カーブを切ったり危な
い追い越しをやったり、というような、運転テクニックを披露すれば相手の女は
ころりと自分になびくとAは今までの経験から確信している。なんといっても営
業部売り上げナンバーワンであることは誰でも知っているのだ。
はたして、会社に戻る頃にはB子の表情も相当緩んできた。会社の人に見られ
たらどうするつもりなのかなぁ、大胆だなあ・・・などと少し感心してしまって
いる。