矢幡洋の精神医学と心理学

学術的なことをかみ砕いたり、日常生活にお役に立てる知識まで幅広く扱います。これまで出した本の初期稿(出版されたものより情報量は多いです)や未発表原稿を連載しますので、何かしら新しい記事があります。本ブログは他にあり、読み切り本気記事はタイトル・サブタイトルが「|」の形で更新情報をお伝えします

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2016-01-01から1年間の記事一覧

自動思考の背景に媒介信念、根底に中核信念

自動思考の深部には媒介信念がありこれは「完全でないという事は破滅的だ」という構え、「常に全力を尽くさなければ失敗する」という思い込み、「私は全てに完全でなければならない」というルール等のより漠然とした信念があり、更に強固な自己・他者 pic.tw…

私たちが「思考」と考えている流れの背後に自動思考が起こっている

私たちが「考えている」時、気がつかないうちに自然発生している思考を自動思考と呼びます。否定的な自動思考は感情・行動・生理的反応に悪影響を及ぼします。自動思考は根底にある中核信念から発生します。まずこの自動思考に気がつくようになること pic.tw…

認知療法の基本的な考え方

日常活動の中で気がつかないうちに「どうせダメ」等の自動思考が起こっています。この自動思考はばらばらなものではなく特定の体系性を持っています。その体系の根底にあるのが「私はダメ」等の中核思考です。ベックはそれを「私はほどほどにはできる pic.tw…

アルバート・エリスは出来事を「どう受け止めるか」という思考に不合理が存在することから不適応が生じると考えました。思考に焦点を当てた最初のセラピーです。「ねばならない」「に決まってる」等の思い込みをユーモアを交えて論駁するというダイレ pic.twi…

科学的エビデンス重視の風潮へ

数え切れないほどの新セラピーが増加した後、「本当に効果がある心理療法は何か」という問題意識が強くなりました。米国心理学会では2000年頃から効果測定による「経験的に支持できる治療法(EST)」のリスト作成を継続しています。 矢幡洋の pic.twitter.co…

精神分析理論からの脱却1980年DSMⅢ

診断基準が精神分析理論に基づいたものから、「×病の本質は何か」という理論を避け症状を見て決めるスタイルに大改訂されました。操作主義的定義では「以下の○個の症状が×個以上継続しているものを△病と呼ぶ」とされ特定の症状を本質的と重視しな pic.twitte…

家族療法諸派の流行

家族療法は1980年頃より流行しオートポイエーシス、ダブルバインド等当時流行した先端思想を取り入れて活況を呈しました。流行との接点の中から、解決志向セラピー・ナラティブセラピー等新しい動きが幾つも生まれました。システム論的な立場は家 pic.twitte…

変性意識状態を使うセラピー

覚醒でも睡眠でもない深くリラックスした意識状態を変性意識状態と呼びます。 1890年頃 ドイツの大脳生理学者フォクトが自分で誘導することにより自己催眠が可能であることを見いだし医学者シュルツはリラックス時の身体感覚を「体が重い」等の https://…

ボディーサイコソマティクスの分類

人間性心理学の影響を受け「誤った動きの習慣を修正すれば身体が元来持っている可能性を引き出せる」という発想を持ったボディーアプローチが数多く開発されました。エサレン研究所の出発点の一つであった英国作家ハクスレーはアレクサンダーテクニッ pic.tw…

トランスパーソナル心理学の衰退

ポップな健康法リラックス法として全米に拡大する一方、正統的学会誌等に瞑想の効果研究が掲載されたるようになりました。トランスパーソナル心理学独自の問題追求は鈍くなりました。他方ではオカルト的なイメージが強調されてジャーナリズムのネタと pic.tw…

脳科学的に精神病を解明する事を否定しませんが、人間を論ずる言葉で説明しようとしました。中井久夫は「余裕-無理-焦り-焦慮」という人間のあり方を表現する概念で統合失調症発病過程を描きました。木村敏は統合失調症を未来志向、欝を過去志向と pic.tw…

アートセラピー

精神病者の絵画のコレクションを出版したプリンツホルンはシュールレアリズムにも大きな影響を与えました。アメリカでは数大学のコースが公認アートセラピスト養成講座として アートセラピー協会から認定されています。幾つかの州は規定のコース修了 pic.twi…

音楽療法

音楽療法は応用行動分析による自閉症児療育にも使われます。音が好きな子供に「音がなる」という事を報酬にして簡単な打楽器でコミュニケーションを促進するのに使われたりします。精神分析派の中で ドラマティックな クラシックを閉眼して聴いて浮 pic.twit…

レアリーの対人関係論的性格分類

集団療法の重視など今日の対人関係学派の手法の基礎を築いたレアリーは性格を支配的-従順、憎悪-愛という2つの次元で8分類しました。1957年の主著ではもはやフロイト主義から遠い説明原理を用いています。

ドイツ記述精神医学の時代から対象者は広がっていった

精神分析の時代には「適応」が、人間性心理学の時代には「自己実現」が目標とされ、「心理学の第四勢力」トランスパーソナル心理学に至ると、「高次の意識状態」へと到達が目標とされるに至りました。