矢幡洋の精神医学と心理学

学術的なことをかみ砕いたり、日常生活にお役に立てる知識まで幅広く扱います。これまで出した本の初期稿(出版されたものより情報量は多いです)や未発表原稿を連載しますので、何かしら新しい記事があります。本ブログは他にあり、読み切り本気記事はタイトル・サブタイトルが「|」の形で更新情報をお伝えします

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性格タイプ 001反社会性 01シーン1.AがB子を「落とそう」と決める

シーン1.AがB子を「落とそう」と決める

「つまんねー1日だったな刺激志向」

 Aにしては、珍しく営業に手応えのなかった1日であった。終業時間近く、A

は会社に向かって社用車を走らせていた。

 会社近くの交差点の手前で信号が赤に変わった。「うぜえなな」Aは貧乏揺り

をはじめ、信号が変わるまでにメールチェックの早わざをやって待ち時間をつぶ

そうかと思って、懐の携帯に手を伸ばそうとした。退屈

 その時、交差点角の銀行から同僚のB子が出てきたのが目に入った。

「なんだ、B子か」

B子は経理だったか庶務課だったかに勤務している新入社の女子社員である。

どうやら自分が所属する部署以外からも雑用を頼まれてしょっちゅう郵便物を出

しにいったり、銀行から小金をひき落としてきたり、文具を買ってきたりと外出

している。新人なので軽く見られているのかそれともあまり仕事ができないので

雑用を押し付けられているのかよくわからない。顔もお世辞にも美人とは言えな

い。今までAがひそかに「いつか、落としてやる」と狙っている女子社員のリス

トの中に入ったことは一度もなかった。

 ところが、ほかにすることも無いのでAはB子のボディラインをチェックして

みた。

「おお!いい、イケてるじゃん」Aは思わず生唾を飲み込んだ。こんなにセク

シーな同僚をどうして今まで見過ごしていたのだろう。たぶん、マスクがあまり

良くなかったので今までデスクに向かっている顔をちらりと見るだけで首から下

の方をじっくり観察したことがなかったからなのだろう。

 「落としたろ、落としたろ」信号が変わって交差点を渡り切った直後路上駐車

のわずかなすき間には巧みなハンドルさばきでAは車をすべりこませた。衝動的

 歩み去って行くB子の後ろ姿を舐め回すように観察しながらAは「落としたる、

絶対落としたる」とつぶやく。

「B子さん」