性格タイプ 022反社会性 22人間不信
人間不信
Aは実はC主任が憎くって仕方がないのである。C主任を憎むもう一つの理由
は、彼は自分より1才しか上ではないの入社1年で主任になった人物である。性
格も控えめで営業向きだとは思えない。社内では、C主任は社長の遠縁に当たっ
ていてそれでズバ抜けた売り上げ成績を出しているわけでもないのに早々と主任
に抜てきされたのだ、という噂もある。Aは、自分のことを「たたき上げ」と思
っていた。自分は、底辺校といわれた高校から誰にも頼らずはいあがってやって
きたのだ、と考えている。売り上げもトップを争うほどのところまで自力で上っ
てきたのだ、思っている。自己肯定的
「それに比べて、C主任の野郎、コネなんかで楽々入社してそのひいきされて入
社1年で大した成績も上げていないずに主任になりやがって」と相手の顔を見る
たびにむらむらと怒りがこみ上げてきて従順そうにするのに苦労するのである。
本当に、C主任がコネで入社したのかどうかわからなかったし、そのおかげで主
任になれたのかどうかはもっとよく分からない。ただ、Aはそう思いこんで「不
公正だ、不公正だ」と始終つぶやいていたのである。
さて、Aは確実に売れる商品ではなく、新しい商品でまだ売れるかどうかがよ
く分からない商品で営業してみると言い出したのだが、もとから彼は「大穴ねら
い」であった。どんなことでも、他人がみんなやっているような堅実な道を選ぶ
ということは好きではなかったのである。予備校のテストでも、いつもいかにも
出そうなところよりも、「ひょっとしたらここは出題されるんじゃないか」思わ
れるような穴場を狙うのが好きだった。奇手好み
とにかく、当たり前の重要事項を当たり前に勉強して当たり前にそこそこの点
数を稼ぐ、ということが性に合わなかったのである。Aは、それよりも一か八か
の山をかけてそれが一発当たって周囲を出しぬいて良い点数をとったときにしご
く満足を感じるのであった。
会社に入ってからもそれは同じだった。当たり前に売れば売れそうな商品より
も、高額商品や、穴場の商品を扱うのが好きだった。