性格タイプ 016反社会性 16搾取的
搾取的
しかし、B子はAは結婚まで真剣に考えているものと信じ込んでいた。Aは思
わせぶりなことを言ってくる。たとえば、やたらとB子の両親の事を聞いてくる
のである。B子の方もすっかり「結婚のことまで考えてくれているんだ。だから
うちの親のことまで聞いてくるんだ」というように思ってしまった。
だが勤務時間中のドライブ以外にはまったく時間を作ってくれないのでB子は
焦った。いつまでも他の女が放っておくようなタマではないはずだ。Aは今は仕
事が大事な時で、よほどの積極的なアクションを示さなければいつまでたっても
関係が深まらない、と思い詰めたのである。とうとうB子はAに「愛を確かめ合
いたい」とくちばしってしまった。
これにはAは「待ってました」とばかりに即座に応じてくれた。だが、ラブホ
テルに入る直前、B子が「私たち、結婚するのかな」とつぶやいたので、Aは
「煩わしいなー」と思った。義務を嫌う
二人は、「愛を確かめ合った」・・・のは5分間程度だった。Aは、「オイ、
俺はたまってるんだから、さっさと体を貸せよ」といわんばかりの一方的なハイ
ペース。B子にとっては「一方的な性欲の処理の対象に使われた」というみじめ
な思いしか残らないものだった。それに、Aは体にさっとかける程度にしかシャ
ワーを浴びなかったので、頭髪のやたら強い男性化粧品の匂いとまじりあって、
鼻がつまりそうな匂いがした。また、ひどくあっさり終えた後のAの視線がどこ
となく冷たく態度がそっけなく感じられたことがB子をまた不穏にさせた。満足
できない
「自分に原因があって、Aが燃えられなかったのではないか」とA子は考えてし
まう。
その翌日からAからの密会電話が来なくなった。いつものバイブ音を入れても
Aは銀行に向かう路上のB子を拾いに来てはくれなかった。2日目も同じ。「ど
うしよう。もしかして、嫌われた?」といてもたってもいられないB子に3日目
にしてようやくAからの連絡音。B子は、ばれやしないか、と自分で思うほどあ
たふたして「郵便を一つ、出し忘れていて」ということにして会社を飛び出した。
路上でAが車の中から声をかけてくれた。
「ごめんごめん、決まりそうでなかなか決まらない契約があってさ」とAはい
いだし、B子を少しほっとさせた。「それでさ、招待券とかもうちょっとおまけ
を上乗せしないと落とせそうもない感じなんだよ。まったくごうつくばりな相手
でね。申し訳ないんだけどさ、俺、給料前で、金血でさ。5万ぐらい貸してくれ
る?」
B子は、営業スタッフが、絶対に成績を上げたい時に自腹を切っておまけを付
け足すものだと知っていた。助けてあげなくちゃ。Aは「例のとこで、もう1回
どう?」と誘いをかけてくる。Aの気持ちに不安を抱いていたB子は大慌てで銀
行に引き返し自分の口座から5万円を引き落としてAに渡した。