矢幡洋の精神医学と心理学

学術的なことをかみ砕いたり、日常生活にお役に立てる知識まで幅広く扱います。これまで出した本の初期稿(出版されたものより情報量は多いです)や未発表原稿を連載しますので、何かしら新しい記事があります。本ブログは他にあり、読み切り本気記事はタイトル・サブタイトルが「|」の形で更新情報をお伝えします

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性格タイプ 018反社会性 18空っぽ

空っぽ

 しかし、B子も、会うお客様のことをことごとく悪しざまに言うAの性格の悪

さには少し気がついてもよかったのではないかと思います。

 彼らのイメージの世界の中では、すべてのものが価値を切り下げられています。

例えば、読んだ本は商業主義的な産物であり、異性は自分の利益を追求している

だけの卑劣な連中であり、肯定的的な人間関係も自分が相手に騙されていたとい

うことにすぎない、とされてしまいます。このように考えて、彼らは自分が獲得

したものを次々に価値を切り下げでしまうのです。彼らの人物評を聞いていると、

世の中の人はみな下劣な悪人であるかのように聞こえます。

 このために、彼らの内面はきわめて虚ろなものになります。

 彼らの心は、例えば過去に存在した異性との肯定的な関係や過去に獲得した他

人からの称賛も(それらは、彼らに内的な満足と安定を与えるようなかけがえの

ない思い出になる可能性があったかもしれないのですが)、彼らには「あの人が、

自分のことを認めてくれた。そのことが今でも自分を力付でくれる」「あの時、

本当に交えたことが自分の心の宝となっている」というようなことが存在しませ

ん。いわば、彼らには「心の宝」が存在しないのです。なぜならば、彼ら自身が

他の人であれば宝になるようなことを、次々にその価値を切り下げてしまうから

です。そのために、彼らの中には内的な充足感というのは残りません。彼らの内

面は空っぽできわめて空虚です。彼らは内的な深みのある満足を感じることがで

きないので、(満足を感じる能力が欠落している)彼らはそのような満足を自分

の外部に求めることになります。

 彼らは、自分の内的な確実性を確立する代わりに、獲得した物質の積み上げよ

うとするのです。外的な獲得物を持って内的な満足に変えようとするのです。だ

が、彼らは先に述べたようなメカニズムによって何物にも深い満足を感じること

はできないので、あらゆるものが彼らにとっては刹那的な満足を与えるにすぎま

せん。そのために彼らはエンドレスに駆り立てられるように外的なものの獲得に

走ります。