性格タイプ 008反社会性 08早い段階から反抗グループに
早い段階から反抗グループに
結局、Aは大した躾らしい躾も受けずに成長していった。母親からは時々父親
の悪口を聞かされた。また、その後もいい年をしても遊び癖がおさまらない父親
は家庭にいることがめったになく、Aは父親と交流らしい交流をした経験がない
ままに育った。Aが父親から言われたことで覚えているのは、「お前が生まれた
せいで、オレは出世できなかった。バリバリ1番仕事しなければならない時に、
お前の教育に時間を取られたからだ」と何度か言われた程度のことであった。だ
が、子供心にもそれは嘘だと見ぬいていた。父親は最初から父親にかまってもら
った経験など全く記憶に残っていなかったからである。
小学校の中学年ごろからしだいにAには反抗的な態度が目立つようになってき
た。彼は「オレたちは、落ちこぼれ」と思っているようなグループに所属してい
た。同年輩グループがモデルに中学校、高校と学校の成績はさっぱりだった。
一貫してAは「オレたちは、落ちこぼれ」と思っているグループに入っていた。
不良グループと言うわけではなかった。彼らは、「ワル」「反抗的」というよう
なイメージを売り物にしたロックバンドに夢中になり、学校の先生たちから嫌わ
れるような髪型をした。学校から出れば、彼らの好きなバンドをまねた格好で街
をのし歩いた。Aの所属する友人グループはみんな成績が悪く、皆「このままで
は自分たちの人生にはいいことなど何一つ待っていない」と信じていた。とにか
く「学歴社会」という巨大な不公平があって、成績の悪い自分たちには見劣りす
る未来しか待っていないと思っていた。社会への不信感
Aの属するグループは、ロックバンドとしてデビューすることを夢見ていた。
「まともに働いたって、ろくな仕事にありつけるわけがない」と思い込んでいた
彼らは、不良ぽさを売り物にするロックバンドとしてデビューすることによって
彼らの未来を取り変えようと考えていた。かといって、本格的な音楽の練習をし
たわけでもなく、ギターの練習をして憧れのロックグループの真似をした曲を作
ってみたりした程度ではあったが。それでも、彼らが本格的な非行に走らなかっ
たのは、ミュージシャンへの夢があったからだった。