矢幡洋の精神医学と心理学

学術的なことをかみ砕いたり、日常生活にお役に立てる知識まで幅広く扱います。これまで出した本の初期稿(出版されたものより情報量は多いです)や未発表原稿を連載しますので、何かしら新しい記事があります。本ブログは他にあり、読み切り本気記事はタイトル・サブタイトルが「|」の形で更新情報をお伝えします

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性格タイプ 005反社会性 05欲求不満耐性が弱い

欲求不満耐性が弱い

 このために、彼らの周囲の人々が気がつく彼らの表面的な特徴というのは、彼

らの衝動的な行動です。彼らは、じっと我慢していることができません。信号を

待っているだけでイライラするというAはちょっと極端ですが。

 彼らは総じて、欲求不満に耐える力が弱いのです。何かが欲しくなると、すぐ

に行動に出てしまいます。また、日常の退屈をうち破ってスリルを感じられるよ

うなチャンスが目に見えると彼らはそれにすぐに飛びつきがちです。

 だが、ここにこそ彼らの行動の一つの問題が含まれています。

 Aの場合を見ても、行動にあたって、まず様々な選択肢を考えてでその中から

比較して選択するという慎重なプロセスを取ろうとしません。また、「このよう

な行動すれば、その後どのような展開が待っておりどのような結末が最後に訪れ

るのか」ということについて彼らはほとんど考えようとしません。結局、そのよ

うな検討をすることによって時間を費やし欲求の充足が遅れてしまうのが嫌なの

です。彼らは「欲しいものは、今すぐ欲しい」という人々で、その衝動を抑える

ことが困難なのです。

 だが結果についてだけではなく、同時に反社会性性格者達はそのような行動

にあたって責任や義務についてもほとんど考慮することがありません。他人が被

る迷惑に関しても「そんなことは知ったことじゃない」という調子です。もちろ

ん、「ルールを守る」ということへの配慮もありません。彼らには思慮がないの

です。時には深い意味があるわけでもなく、「はずみでやってしまった」という

ように見えることこともあります。