矢幡洋の精神医学と心理学

学術的なことをかみ砕いたり、日常生活にお役に立てる知識まで幅広く扱います。これまで出した本の初期稿(出版されたものより情報量は多いです)や未発表原稿を連載しますので、何かしら新しい記事があります。本ブログは他にあり、読み切り本気記事はタイトル・サブタイトルが「|」の形で更新情報をお伝えします

「元の世界に戻して」被虐待児は何とか不登校を乗り越えるが、生まれてきた子供には発達障害の兆候が・・・この部分は9月14日までネット上で無料立ち読みできます!
もし元不登校児の娘が自閉症だったら
「ママなんか死んじゃえ」衝撃の著者家族ノンフィクション! 

認知行動療法の端緒

ベックは精神分析の立場からうつ病患者の夢は無意識的攻撃性が高まっていると予想した所、悲観的な夢が多く、精神分析に疑問を持つようになった。「認知療法は精神分析の実践的発展型」と考えた原稿は「こんなに単純な方法に効果があるわけがない」と一晩で…

スターンが刷新した精神分析的乳児発達論

精神分析の「母子未分化」という仮説に反し「乳児は最初から自他を区別している」とし、主観的自己感が成立して母親との感情合わせができるようになると考えました。更に1歳半頃から言葉で自分を客観的に見る事が可能になるとしました。精神分析の中 pic.twi…

対象関係論や進化行動学を統合したボウルビーの同僚エインズワースはストレンジ・シチュエーション法で満一歳児の愛着行動に4つのタイプがあるとしました。安定型は最も適応的であり無秩序・無方向型は病理的で後年に影響を及ぼすとしました。各国の pic.tw…

精神分析に進化論を加えたボウルビー

母親と乳児を接近させる情緒的繋がりを愛着と呼び、これによって乳児は危険から身を守る事ができたとしました。泣くのは母親の養育行動を活性化させる機能を持ちそのような子供が生存可能性が高かったので私たちには遺伝的に母子の絆を形成する仕組み pic.tw…

自己愛損傷と関係がある心理(コフート)

コフートは自己愛にまつわる現象を広く考え、依存性も自己愛の健全な成長の失敗の結果であり、羞恥心は自己顕示的な緊張が高まった状態としました。シゾイド・パラノイドは重症な形態としました。通常は自己愛性人格障害は、高すぎる自己評価と他者へ pic.tw…

ビオンは合理的目的を追求するワークグループと無意識の心性に支配される3種類の基底的想定グループを想定しました。リーダーに対して依存グループは依存心と欲求不満を満たす事を、闘争-逃走グループは「戦うか逃げるか」の決断を求めます。ペアリ pic.twit…

フランセスが指摘する診断の流行

DSMⅣ責任編集者フランセスはある診断名が過剰に診断されるという事態を精神医学は繰り返していると指摘しています。フロイトの時代にはヒステリーが創造性と関連性があり、人間性の核心にある 謎の疾患として注目を集めていました。初期フロイト pic.twitter…

フロイトの診断分類への貢献

フロイトは、大病院勤務だったクレペリンの分類で空白部分になっていた部分を、通院患者の治療経験から埋めました。悲嘆と鬱状態の区別、パニック障害・恐怖症・全般的不安の区別や性的障害への注目など、クレペリンが見落としていた診断の鑑別を確立 pic.tw…

戦後アメリカとドイツの精神医学の相違

クレペリン死後弟子達がナチス支持に回り敗戦後公職追放された事から、代わって哲学的人間学によって病理を説明しようとする精神病理学(人間学派)が戦後ドイツで栄えました。精神分析は戦後もヤスパースら批判派が強く ドイツでは沈滞し米国で大成 pic.twi…

クレペリンの最も大きな業績

クレペリンの最も大きな業績は統合失調症と気分障害の2つの疾患単位を確立した事です。彼は精神病の原因を脳や遺伝等、まだ未解明なものと考えていたためこの2つを内因性としました。彼は、フロイトの精神分析学で原因を説明できるという主張に批判 pic.tw…

マインドフルネスの発祥はリネハン(1987)の自殺願望者への行動療法です。彼らは変化の促しにも苦悩の受容にも過敏になりがちでした。矛盾する気持ちを弁証法的な統合に導く方法として価値判断なしであるがままを受け入れる徹底的アクセプタンス pic.twitter.…

マインドフルネス

悲観的思考・感情に過剰に注目せず、今の身体感覚・感情・思考等起こっている全てを無評価に眺める態度へとトレーニングするうちに悲観的なものは時折浮かんでは消えてしまうものに過ぎない事がわかり和らいで行きます。効果は抑鬱・トラウマ・摂食障 pic.tw…

クライン派分析家ビオン

クライン派分析家ビオンは思考の起源を考察しました。乳児は空腹で泣き叫んでいる時、自らはその意味が分かりません。母親がこれに世話で対応する時、乳児はそれまでの体験が考える対象になりうる事に気づき、言葉に至らなくても前概念が生じます。治 pic.tw…

コフートの自己心理学

フロイトが自己愛を対象愛で置き換えられるべきものとしたのに対し、コフートは自己愛はそれ独自の発達をたどり一生続くものとしました。いわば人間を野心と理想の緊張関係で捉えその両者がバランスを保ちつつ現実的目標に落ち着いて行く成長プロセス pic.tw…

エリクソンのライフサイクル論

エリクソンは各発達段階の課題を達成することで次の段階に健全な移行が進むとし、「ライフサイクル」は心理学を超えた影響力を持ちました。特に青年期に獲得されるべきとしたアイデンティティー(自我同一性)やその課題を据え置いたままにしておく「 pic.tw…

アンナ・フロイト対メラニー・クラインの児童分析

アンナ・フロイトは『自我と防衛機制』で自我がリビドー・超自我をコントロールして現実に対処する方法を整理し、自我の適応的な働きを強調しました。児童分析のパイオニアとしてはクラインと激しく対立しましたが、エリクソンを後継者として米国精神 pic.twi…

逆説療法

解決しようとする努力そのものが問題を逆にこじらせている場合があります。例えば「人前で上がるまい」と努力するとますますナーバスになり上がりはひどくなります。逆説療法は「上がるように努力してみて下さい」と指示して「上がるまい」という悪循 pic.tw…

可能性療法

非支持的療法は患者が話す方向につきますが短期療法は現在の目標に話題を変えようとします。可能性療法は変化を重視する短期療法の一つですが患者が過去譚を話す事を許容します。そのため明確な定型がなく変化を示唆する言葉かけを重視します。ロジャ pic.tw…

苦行療法

苦行療法では「例えば禁煙を破ったら嫌いな片付けをやる」等の約束をセラピストと交わします。「苦行」は患者が嫌がる事だが患者にとってやれば利益になる事を選びます。パラドックスは短期療法が好む方法でジェイ・ヘイリーは膠着事態を変えるため様 pic.tw…

短期療法

短期療法とは催眠療法家ミルトン・エリクソンによって開発された戦略的心理療法です。症状を複雑化なシステムと考え「単独の原因がある筈だからそれを解消すればよい」という発想を取りません。時には逆説的な提案などをしてとにかく変化を引き起こそ pic.tw…

認知行動療法と認知療法はほぼ同義

認知行動療法とはマイケンバウムが使い始めた呼び名で殆ど認知療法と同義です。ただし、認知療法の中に行動技法として暴露法等の行動療法の技法が使われる事はよくあります。例えば「異性と交流できない」という中核信念を持つ人が「困っている相手に pic.tw…

自動思考の背景に媒介信念、根底に中核信念

自動思考の深部には媒介信念がありこれは「完全でないという事は破滅的だ」という構え、「常に全力を尽くさなければ失敗する」という思い込み、「私は全てに完全でなければならない」というルール等のより漠然とした信念があり、更に強固な自己・他者 pic.tw…

私たちが「思考」と考えている流れの背後に自動思考が起こっている

私たちが「考えている」時、気がつかないうちに自然発生している思考を自動思考と呼びます。否定的な自動思考は感情・行動・生理的反応に悪影響を及ぼします。自動思考は根底にある中核信念から発生します。まずこの自動思考に気がつくようになること pic.tw…

認知療法の基本的な考え方

日常活動の中で気がつかないうちに「どうせダメ」等の自動思考が起こっています。この自動思考はばらばらなものではなく特定の体系性を持っています。その体系の根底にあるのが「私はダメ」等の中核思考です。ベックはそれを「私はほどほどにはできる pic.tw…

アルバート・エリスは出来事を「どう受け止めるか」という思考に不合理が存在することから不適応が生じると考えました。思考に焦点を当てた最初のセラピーです。「ねばならない」「に決まってる」等の思い込みをユーモアを交えて論駁するというダイレ pic.twi…

科学的エビデンス重視の風潮へ

数え切れないほどの新セラピーが増加した後、「本当に効果がある心理療法は何か」という問題意識が強くなりました。米国心理学会では2000年頃から効果測定による「経験的に支持できる治療法(EST)」のリスト作成を継続しています。 矢幡洋の pic.twitter.co…

精神分析理論からの脱却1980年DSMⅢ

診断基準が精神分析理論に基づいたものから、「×病の本質は何か」という理論を避け症状を見て決めるスタイルに大改訂されました。操作主義的定義では「以下の○個の症状が×個以上継続しているものを△病と呼ぶ」とされ特定の症状を本質的と重視しな pic.twitte…

家族療法諸派の流行

家族療法は1980年頃より流行しオートポイエーシス、ダブルバインド等当時流行した先端思想を取り入れて活況を呈しました。流行との接点の中から、解決志向セラピー・ナラティブセラピー等新しい動きが幾つも生まれました。システム論的な立場は家 pic.twitte…

変性意識状態を使うセラピー

覚醒でも睡眠でもない深くリラックスした意識状態を変性意識状態と呼びます。 1890年頃 ドイツの大脳生理学者フォクトが自分で誘導することにより自己催眠が可能であることを見いだし医学者シュルツはリラックス時の身体感覚を「体が重い」等の https://…

ボディーサイコソマティクスの分類

人間性心理学の影響を受け「誤った動きの習慣を修正すれば身体が元来持っている可能性を引き出せる」という発想を持ったボディーアプローチが数多く開発されました。エサレン研究所の出発点の一つであった英国作家ハクスレーはアレクサンダーテクニッ pic.tw…